リンゴの機能性分析

信頼性と精度の高い分析技術

平成27年より施行された機能性表示食品制度により、生鮮食品の機能性表示による高付加価値化のニーズが高まっています。
農工研は、リンゴに含まれる機能性成分であるリンゴ由来プロシアニジンの分析を行っています。本分析は分析方法の特許を有する農研機構の許諾を受け実施しています。
※特許第6508741号「プロシアニジン類の分析方法及び分析システム」

妥当性確認
済み
JAS法に
準拠
簡易法によ
る迅速分析
新鮮なリンゴ
新鮮なリンゴ

農工研が行うリンゴの機能性分析

POINT.1

簡易分析法の利用により
短時間での分析が可能

HPLCを用いた従来の分析方法では、一回の分析に約 75 分間を要していましたが、農研機構が開発した簡易分析法(特許第6508741号)では分析時間が20分に短縮されました。短時間の分析でより多くの検体を分析することが可能です。
また、試薬等の使用量も少なくて済むため、低コストで環境負荷の少ない分析方法です。

リンゴの成分分析の様子
POINT.2

日本農林規格(JAS0024)の
妥当性が確認された分析方法

リンゴの機能性関与成分として注目されているリンゴ由来プロシアニジンは、その含有量を求めるための信頼性の高い分析方法が求められてきました。
当所が採用している分析方法は日本農林規格(JAS0024)に制定されています。また、農林水産消費安全センター(FAMIC)が実施した共同試験にも参加しました

顕微鏡を覗く研究者
POINT.3

生研支援センターの支援を
受けたプロジェクトに参画

当所は平成28年度より4年間にわたり農研機構生研支援センターの支援を受けたリンゴの機能性表示食品開発に関するプロジェクトに参画しました。
その中で開発支援したリンゴ加工品(リンゴジュースおよびドライフルーツ)2商品が機能性表示食品として届出されました。  

リンゴと試験管

リンゴの機能性成分分析の活用事例

Case. 1

生鮮食品としてリンゴの機能性表示食品の届出完了

農研機構食品研究部門、JAながのとの連携

機能性表示食品は、生鮮食品と一部の農林水産加工品においては、一日の必要摂取量の50%でも表示することが可能です。しかし今回、JAながの管内で生産されたシナノゴールドを調査したところ、一日に1個(可食部300g)を食べることで、内臓脂肪を抑制する効果を表示できることがわかりました。つまり、対象となるシナノゴールド1個でリンゴ由来プロシアニジンの内臓脂肪を抑制する効果の一日あたりの必要摂取量である110mg100%摂取できるのです。
これらの結果を踏まえ、農研機構食品研究部門とJAながのと連携し令和5年8月9日に届出を行い、このたび無事に届出が完了しました。そして、令和5年11月7日にJAながの本所においてプレスリリースが開催され、同年11月20日から「ながまるアップル」の商品名で販売されています。 生鮮リンゴでの届出の事例をみる

ニーズが高まっている背景

  • 近年、生産者の高齢化や資材の高騰などにより、生産量が大きく減少するとともに、リンゴの消費量も減少している
  • 機能性表示食品への消費者の認知度が向上し、市場が拡大していることから、生産者や市場、消費者からリンゴでも機能性成分への注目度が上がってきた

農工研が貢献したこと

  • 妥当性が確認された分析方法により、バラつきや下限値設定など品質保証に関する精度の高い分析を実施
  • 短時間での分析が可能な簡易分析法により、検体数多く実施することが可能となりバラつきを抑えられるとともに、検体の品質低下の影響を受けずに分析を行うことができる
  • 届出に関わるリンゴ由来プロシアニジンの分析及び商品開発に協力
Case. 2

リンゴジュース(機能性表示食品)の開発

長野興農株式会社様

リンゴに含まれるリンゴ由来プロシアニジンには内臓脂肪を減少させる効果があると報告されています。この機能性成分を活かしてリンゴジュースの開発を行い、1日の摂取目安量や賞味期限を定めました。

ニーズが高まっている背景

  • 東南アジアを中心に食品の機能性に対する関心が高まっており、リンゴ果汁の輸出量が増加傾向にある

農工研が貢献したこと

  • 簡易法の採用により製造時や出荷前の品質管理分析の迅速化に貢献した
  • 国内でリンゴジュースで初めて機能性表示食品として認められたことで高付加価値化や類似商品との差別化に貢献した

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