ドライフルーツ製法別のメリット・デメリット
多くの方が一度は食べたことがあるであろうドライフルーツ。手軽に食べることができ、種類も豊富なドライフルーツですが、実はさまざまな製法があり、それぞれに特徴があります。ドライフルーツの新たな魅力を発見してみてください。
糖漬け乾燥製法
最もスタンダードな糖漬け乾燥のドライフルーツ
糖漬け乾燥のドライフルーツは多くの方が一度は食べたことがあるであろう食品です。
砂糖や液糖などの糖類を加え調味したものを乾燥させます。この調味液に酸味料や酸化防止剤、香料や着色料等を加えることもあります。ほとんどのくだもので、このタイプの製品を作ることができます。
糖漬け乾燥のメリット
糖度を上げる段階で果実本体から脱水されるため乾燥時に除去しなければいけない水分が減ります。また、糖度を強制的に上昇させることで乾燥しても柔らかく仕上げることができます。さらに、自由に味の調製ができるため安定した品質の加工品を作ることができます。
糖漬け乾燥のデメリット
調味するため、果実本来の味や香り等の特性が失われてしまうことが多くあります。また、糖分摂取過多などの可能性もあります。乾燥工程においても高糖度の影響により、条件によっては乾燥が進まないことがあります。
チップス製法(フリーズドライを含む)
ここでは、調味等をあまり行わず、しっかりと乾燥させたチップス状やダイス状、フレーク状やホール状の乾燥品を「チップス製法」としてご紹介します。また、フリーズドライは食感などの観点から同一としますが、VF(バキュームフライ)製法等は含みません。
パリッ!サクッ!と手軽に食べられるチップス製法
農産物の直売所でも見られますが、チップス製法で作られたドライフルーツはチップス状にパリパリに乾燥させた食品です。多くの場合、薄くスライスして乾燥させています。
また、フリーズドライの場合は大きめのカットでもサクッと仕上げることができます。酸化防止剤を使用することはありますが、糖漬けは乾燥がうまくいかないため行わないのが一般的です。
チップス製法のメリット
品目にもよりますが、軽い食感が特徴です。また、調味をしていないものが多いので、果実本来の甘みや風味を楽しむことができます。また、フリーズドライなどでなければ家庭でも簡単に作ることができます。
チップス製法のデメリット
チップス製法はその特性から割れて細かくなりやすいため、取扱いを慎重に行う必要があります。また、吸湿性が高く開封後の保管状況によっては特徴的な食感を維持できないことが多くあります。また、調味をあまりしないことから、原料品質の影響を大きく受けます。
無調味乾燥品(特許製法)
当研究所で特許を取得した無調味乾燥品についてご紹介します。
果実の本来の風味を生かせる無調味乾燥品
「糖漬けでは甘すぎる」「すぐに湿気ってしまうのは…」こうした声がある中で生まれたのが当研究所で特許を取得した無調味乾燥品です。
例えばリンゴで作ると、見た目は乾燥マンゴーのようで食感は少し硬めの『干しいも』のよう、との声が聞かれます。製造工程では水以外何も添加していないため、リンゴ本来の風味が楽しめます。
無調味乾燥品のメリット
糖漬けしたような色調でありながら、果実本来の風味が残っています。また、開封後もすぐに品質が低下することもありません。糖で手がベタベタすることも、食べたときに屑が落ちることもありません。また、特殊製法により乾燥時間が短く済むという、工程的なメリットもあります。
無調味乾燥品のデメリット
調味をしないため、素材の味をダイレクトに感じます。酸っぱい原料から作ったドライフルーツは酸っぱくなり、苦味のある原料から作ったドライフルーツは苦くなります。
つまり、素材の味が最終品質に直接影響するのです。
また、内在酵素の失活や殺菌の観点から加熱処理を行うため、熱耐性が低い柔らかな果肉のくだものでは、煮崩れてしまうため適性が低くなってしまいます。
ドライフルーツの楽しみ方
ドライフルーツは甘さや酸味が強かったりします。そんな時は是非飲み物とのマリアージュをお楽しみください。さらに水分と一緒に食べることでお腹の中で膨れて満腹感も得られやすくなります。
また、そのまま食べるだけじゃもったいない、スタンダードな使い道から意外な使い道までご紹介します。
飲み物と楽しむドライフルーツ
お茶やコーヒーと楽しむドライフルーツ
これは最もスタンダードでしょう。くだものにはポリフェノールが含まれているものが多くあります。そしてお茶に含まれるカテキンやコーヒーに含まれるクロロゲン酸もポリフェノールの一種です。どちらもポリフェノールを含んでいて、さらにドライフルーツは濃厚な甘みを有しています。まったりとした甘みをお茶やコーヒーが自然な渋味の余韻を残しながら洗い流してくれます。
牛乳と楽しむドライフルーツ
タンニンなどの渋味は、タンパク質と結合しやすい性質を持っています。ドライフルーツの渋味を強く感じやすい方は、ぜひ一度牛乳と一緒に楽しんでみてください。渋味が牛乳のタンパク質と結合するため、濃厚な甘みをより感じやすくなります。
アルコールと楽しむドライフルーツ
すでに実践されている方もいると思いますが、ドライフルーツはアルコール飲料との相性も抜群です。お茶などと同じくポリフェノールを含むワインやアルコール度数の高いブランデーやウィスキーはもちろんのこと、焼酎や日本酒、紹興酒などとも合います。干しブドウや市田柿、リンゴ、カンキツ、ベリー系、自分好みの組み合わせを探してみるのも楽しいかもしれませんね。ちなみにこちらは20歳以上限定の組み合わせになります。未成年の方はもうしばらくお待ちくださいね。
お菓子作りに使えるドライフルーツ
ケーキやクッキーに
使ったことがある方も多いのではないでしょうか?
実際にスーパーなどの製菓材料のコーナーにもダイス状にカットされたドライフルーツが売っています。糖漬けのドライフルーツを使う時には甘みが強くなりすぎないように注意しましょう。また、クッキーなどの場合、生地表面にドライフルーツが出ていると焦げることがあります。
パイのフィリングに
これは私のお勧めです。ドライフルーツをジュースや水、香りづけのブランデー等と一緒に水分がなくなるまで煮ます。それをパイ生地で包んで焼いたらあっという間にフルーツパイの出来上がり。ドライフルーツなのでくだものの少ない時期でも作れますし、なによりもドリップが少ないことでパイ生地がサクサクのままでいます。
チョコレートをかけて
シンプルにドライフルーツにチョコレートをかけただけでもおしゃれなスイーツに早変わり。実際に販売もされていますが、自分の好きなドライフルーツに溶かしたチョコをかけるだけで簡単ですし、日持ちも問題ありません。チョコにもポリフェノールが含まれますので相性抜群です。無調味乾燥品を使いビターチョコを使えば甘いものが苦手な人にも喜んでもらえるかもしれません。
料理にも使えるドライフルーツ
サラダに
いつものサラダに細かく切った(砕いた)ドライフルーツをトッピングするのはいかがでしょうか?ちょっと加えるだけでもおしゃれなカフェのサラダのようになります。マヨネーズを使用するポテトサラダなどに加えても、とても美味しくできます。ぜひお試しください。
肉料理に
特に相性が良いのは豚肉や鶏肉です。豚肉は生姜焼きを作る際のタレに加えます。砂糖のような甘みにはなりませんが、甘みと酸味が適度に加わり、果実特有の食感も感じられます。鶏肉はお醤油などと一緒にこっくり煮込んでもとても美味しく食べられます。日本では一般的ではないですが、海外では鴨のローストや鹿肉などにドライフルーツを使った甘めのソースを使うことがあります。お肉特有の臭いをマスキングする効果も期待できます。
その他
干し柿を使った「なます」や「白和え」は古くから親しまれてきました。それ以外にもレーズンやカンキツのドライフルーツを混ぜ込んだチーズやバターなど、パンやクラッカーの付け合わせとしても人気のものもあります。いつもの料理に少し加えるだけでも奥深い味に変わります。たくさん加えるとドライフルーツが主張しすぎることがあるので、最初は隠し味程度で始めてみましょう。