市販品りんごジュースのリンゴ由来プロシアニジン量
同一工場製造品の比較
同一工場で製造したりんごジュース(A~F)で比較すると、‘ふじ’を原料とした製品Aのリンゴ由来プロシアニジン量が193.1 µg/mLと最も多く、次いで製品Dの‘シナノスイート’(131.4 µg/mL)、製品Eの‘秋映’(128.1 µg/mL)の順に多いことが確認されました。一方で製品Cの‘シナノゴールド’(86.2 µg/mL)は製品Aの半分以下であることも確認されました(図1)。
製造工場別の比較
製造工場別のリンゴ由来プロシアニジンの違いについて確認したところ、最も多かった製品Iの‘シナノゴールド’を原料としたりんごジュースが254.3 µg/mLであったのに対し、製品Hの‘ふじ’を原料としたりんごジュースでは、6.73 µg/mLと約38倍の差が確認されました(図1)。
製造工程の影響
製品A~Fおよび製品G、製品Kは窒素気流下などの密閉ラインによる搾汁を行っており、原料のりんご品種に違いはあるものの、リンゴ由来プロシアニジン量が比較的多く含まれていました(図1)。このことから、原料の影響より製造工程での影響が大きいことがわかりました。
酸化防止剤の影響
製品Iおよび製品Jは酸化防止剤としてビタミンCが使用されており、リンゴ由来プロシアニジンの酸化が防がれていたため、多く検出されたと推定されました(図1)。
図1. 長野県で市販されているりんごジュース中のリンゴ由来プロシアニジン量
供試試料の原料は、A:ふじ、B:王林、C:シナノゴールド、D:シナノスイート、E:秋映、F:つがる、(A~Fについては同一工場製)G:中晩生混合、H:ふじ、I:シナノゴールド(ビタミンC添加)、J:ふじ(ビタミンC添加)、K:中晩生混合
このように、品種、製造工程、酸化防止剤の有無などでリンゴ由来プロシアニジンは変化します。
この記事は果汁協会報No.776(4月号-2023)「りんごジュースの機能性表示食品の開発とプロシアニジン分析法の標準化」(滝沢ら)の報文を基に一部を変更して記載しております。