りんごの機能性表示食品届出への検討
安全性
「安全性」については、安全性試験の実施や安全性に関する既知情報の調査、これまでの食経験から判断することが出来ます。りんごは古くから喫食されてきており、十分な食経験があることや、安全性に関する既知情報の調査では該当する報告がないことから安全であると考えられます。
機能性
「機能性」については、システマティックレビュー(SR)もしくはヒト介入試験によって科学的に実証するとともに、機能性関与成分の一日あたりの必要摂取量を求める必要があります。SRは、過去の科学論文データーベースを検索し、専門家による内容の精査、機能性の「科学的根拠(エビデンス)」を示す手法です。肯定的な結果だけでなく、否定的な結果も踏まえ、機能性の有無について認められるか否かを総合的に判断するものです。
りんごに関するSR
農研機構が行ったりんごのSRでは、20~65歳の軽度肥満(25≦BMI<30)の研究対象者(男女94例(解析対象87例))がリンゴ由来プロシアニジンを110 mg含む飲料を12週間毎日摂取したところ、プラセボ群と比して有意に内臓脂肪面積値が低減する効果が確認されました1)。
品質管理(機能性成分)
これらのことから、SRにより示された一日必要摂取量(リンゴ由来プロシアニジンとして110 mg)を管理、担保するため妥当性が確認された分析方法を用いて、生鮮のりんごやジュースなどの加工品の必要摂取量を決定する必要があります。
引用文献
1) Akazone, Y., Kametani, N., Kanda, T., Shimasaki, H., Kobayashi, S., Evaluation of Safety of Excessive Intake and Efficacy of Long-term Intake of Beverages Containing Apple Polyphenols. J. Oleo Sci. 59, (6) 321-338. (2010).
この記事は果汁協会報No.776(4月号-2023)「りんごジュースの機能性表示食品の開発とプロシアニジン分析法の標準化」(滝沢ら)の報文を基に一部変更して記載しております。