農家向け【干し柿・あんぽ柿乾燥機】の開発
干し柿の製造工程で最も重要なポイントである「初期乾燥」。この初期乾燥を担う農家向けの干し柿・あんぽ柿乾燥機をJAみなみ信州ならびに兼八産業と共同で開発しました。
ブランドを守り、強化するために
市田柿工房稼働から10年
JAみなみ信州の市田柿工房は平成25年から稼働を開始し、今年で10年目となります。稼働当初は、予期せぬトラブルも多数ありましたが、現在ではシーズンで最大600トン(原料生柿ベース)まで加工できる施設になり、伝統ある市田柿を支える重要な拠点となっています。当研究所が支援してきた機械乾燥技術は、最大2.8トンの柿を入庫可能な気熱式減圧乾燥機20台によって5日サイクルでハザ下ろしに適切な状態まで仕上げています。
市田柿のブランドを支える生産者
しかし、地域全体で見れば1割に満たない加工量です。市田柿の生産を支えているのは紛れもなく3,000名を超える生産者です。そして多くの生産者は日々の天候と柿の状況を五感でとらえ蓄積してきたノウハウを駆使しながら高品質な干し柿生産をしています。しかし、近年の環境変化は生産者の経験値が追い付かないほど大きな変化となっています。
急激な環境変化に対応する技術
カビの発生、渋抜け不良、乾燥不足や過多など品質のバラつきも多岐にわたります。干し柿づくりに苦戦する生産者さんを私たちの技術力でサポートできないかと考え、JAみなみ信州そして兼八産業と連携し農家向けの乾燥機を開発しました。
農家向け柿乾燥機【柿名人】とは
干し柿に本気な技術者たち
兼八産業が販売する柿名人は30年におよぶ研究成果に基づいてシステムが構築されています。そこに、当研究所とJAみなみ信州が蓄積してきた乾燥技術を組み合わせたことでこれまでより高品質の干し柿生産が可能となる乾燥機が完成しました。
この乾燥機は、干し柿の出来を大きく左右する乾燥初期を約24時間コントロールし、その後は通常の天日乾燥へと移行する手法で、乾燥期間が1~2週間程度短縮できます。渋抜け等にも注目したプログラムを組んでいるため、渋残りやモドリ(表面の粉の消失)の発生を抑制することも可能です。
そしてこの乾燥プログラムは品種や干し柿のタイプ(ころ柿、あんぽ柿)によって細かくアレンジしているとともに、生産者の方々の声を聞きながら進化し続けるためにノウハウを蓄積しています。干し柿の生産で苦労されている方、特に乾燥初期のコントロールに苦戦されている生産者の方は是非一度、ご検討ください。